冷え症といってしまうと様々な症状の原因となり漠然としていますが、東洋医学では冷えというものの
考え方にも様々なバリエーション(分類)があります。
通常の軽い状態の冷えでは、冷えのぼせと言われる状態です。
からだを大きく陰・陽で考えると上半身と下半身の関係です。
上が陽で、下が陰です。普通は冷えは下半身からはじまります。漢方では上熱下寒と
いわれる状態で、自然の現象や気候と同じように暖かいものは上に行き、冷たいもの
は下に行くものです。
またこのことは下を冷やせば熱は上に行くということがからだの中で起きていると
考えています。通常の場合の冷え症の方はこの状態のことが多く、からだ全体が冷え
切っている状態は少なくなります。この状態では活力もほとんどないような時の場合
です。ですから通常は上にあるべき熱を下の方に引き戻してあげられるような元気の
あるからだに戻してあげることが冷え症の体質改善になります。
そして寒邪といわれる冷えの原因はからだを層として考えると体表からまず侵入し
ます。東洋医学では冷えが体表やその周囲にあるのか、それとも体内の深いところに
あるのか?ということを表・裏という言葉で分類します。なぜ分類するのかというと
体表に冷えのある場合の治療法と体内に冷えのある場合の治療法が異なるからです。
漢方薬を例にとると発汗により表面の冷えを取る桂枝湯や葛根湯と八味地黄丸の体
内の深くを温めるものではまったく作用が異なります。
最近ではよく例えにいわれるのが電気毛布やこたつなどの遠赤外線の温めるという
ことの問題がいわれています。
遠赤外線というものは体表面よりも体内の深い部分を温める作用があります。
深い部分の冷えをとるには有効的なものなのですが、表面にある表寒といわれるもの
は取り除きにくい特徴があります。
これは皮肉なことに電気毛布やこたつという温める作用のあるものを使用している
のに一向に冷え症が良くならないという矛盾につながっています。
むしろ体内を温めすぎることによりからだの深い部分の潤いが消失してからだの発
熱する力が減少し、使用すればするほど冷え症の症状が悪くなるということにつなが
ってゆきます。
東洋医学では邪を抜くときにはまず浅い部分から徐々に深い部分の邪を抜いてゆき
ます。浅い部分の冷えをしっかり取ってあげてから遠赤外線などで深い部分を温める
と冷え症は治る方向に向かいます。