一昔前とくらべて近年は飽食の時代といわれています。
糖分のとりすぎ。精製した白米などで炭水化物の摂りすぎ。等により
すい臓のインスリンの分泌にも疲れが生じてしまいます。
◆糖尿病
東洋医学では昔から糖尿病のことを消渇(しょうかつ しょうかち)の病といわれ、様々な治療法と養生法がおこなわれてきました。
昔はすい臓は脾臓(ひぞう)という名前で呼ばれていました。
脾臓というのは胃腸が消化吸収してからだの気(エネルギー)をつくりだす、胃腸の親分のようなものです。
その脾臓と水分代謝に関係の深い、腎臓の働きのバランスが崩れて起こることが多くなると東洋医学では考えています。すい臓(脾臓)の力が強すぎて腎臓を傷めている状態)
糖尿病のよくいわれる症状は、『口渇、多飲、多尿』といわれますが、初期のうちにはっきりとこのような自覚を感じる方はあまりいません。
現代の精密な検査の進歩でわかってきたのは、隠れ糖尿病といわれる糖尿病予備軍という、東洋医学でいうところの『未病』という病の潜伏期間のようなもの。
自覚症状や検査値にもでにくいものがほとんどだということのようです。
当院の患者さんなどでよく感じるのは、炭水化物の過剰、すい臓の機能低下が大多数です。細かくみてゆくと、すい臓の働きと関連する筋肉の低下、とくに肩まわりのある動きの悪い状態が長年も続いていることも多いです。ひどくなると五十肩という肩の痛みの症状で来院される方もいます。
このときはご説明した上で、もちろん五十肩の治療とともに、すい臓(脾)の治療など五臓のバランスを調える治療を行います。
東洋医学は単に一つの症状だけをみているのでなく、
からだのつながりみてゆき、
こころとからだを一つに取り戻すことができるのが良いところです。
知らず知らずのうちに食べ物、飲み物などに糖分や食べ物の偏りが出ていることもあります。
またそういった偏りの全くない方でも、なぜか?現代では
すい臓の機能低下というのがよくみられます。
もともと幼少からの胃腸が弱い人は消渇になりやすいとも昔からよくいわれているからかもしれません。
インシュリン接種などの病の重い状態からの回復は、古来の書にも、重いものは完治は難しいと書かれているので、なるべく未病のうちに対処してゆきたい現代病です。
【参考】
『類経』 六十、 消癉熱中(附:消癉治法) P365
『素問』通評虚実論篇(28) 『素問』腹中論篇(40)